こまち

 こまちの目頭に脂肪腫が出来て、だんだん大きくなった。ネコ病院へ連れて行った。獣医さんが針でつぶしたら小さくなった。年寄りだが健康だと言われた。

 高校生の娘が友達からもらって来た。「たくさんの中で隅っこに一匹だけでいた。弱々しい自分のようであった。だから、こまちを選んだんだー。」

「一生私が面倒を見るから。」との約束だった。しかし、娘の猫アレルギーによって一週間で不履行となった。

 200グラムの小さ過ぎる子猫は、歩くとヨロヨロした。哺乳瓶のミルクを飲むことも出来ず、スポイトで与えた。ソファーの上から、床へ降りられずに戸惑っていた姿。『可愛いね‼︎』こまちは、家族の注目を集めた。

 娘は、「こまちは、よけいなこと言わないからいいなー。」「ママがこまちをだっこするのを見るのが好きなんだー。」と宣った。

婚姻届けにまで、こまちの写真を載せた。友人の電話の挨拶は、「こまち元気?」から始まる。

 我が家では、こまちは、偉大なカウンセラー。高い自己肯定感で、今ここをゆったり生きている。