2020-01-01から1年間の記事一覧

新しい朝

秋晴れの空に小鳥の群れが飛んで行った。冷えた空気が凛としている。生きて居る今が問われる。

信頼

友人が、「近くまで来ている。」と電話をくれた。一年半会って居なかった。電話だけで頻繁に話をしていた。ケンカもした。もう、本音で話すことが出来る様になっていた。何も準備していなくても、それで良かった。2時間しか時間は取れなかったけれど、一緒に…

大切なもの

「一生苦しい事あるけど、最後の瞬間幸せだったと思えればいいかな。もしかすると死の瞬間だけかも知れないですね。マザー・テレサがインドで、心安らかに死んでいく様に『死を待つ人の家』を作った。最後まで苦しんで死んでいく人も居ますからね。同じ人間…

出合い

昼下がりに日陰になるベンチで腰掛けていた。私は、パソコンで書き物をしようと思っていた所だった。通りすぎようとする女性に声をかけられた。「遠方から来たが、予定されていた集会の曜日を誤ってしまった。残念だから誰かと話したかった。」と言われる。…

ブレンドタイム

私は、どういう状態なのか?パソコンのセキュリティー対策に翻弄されて頭の中は、不安、混乱、焦燥、怒り、諸々の嫌な感情の嵐の中に居る。 自己を俯瞰で見る。パソコンを直そうと言う気にもならない。こころの置き場所はどこか?フレイザーの共感呪術を使お…

こまち

こまちの目頭に脂肪腫が出来て、だんだん大きくなった。ネコ病院へ連れて行った。獣医さんが針でつぶしたら小さくなった。年寄りだが健康だと言われた。 高校生の娘が友達からもらって来た。「たくさんの中で隅っこに一匹だけでいた。弱々しい自分のようであ…

雪子さん

『雪の日に産まれたから雪子と名付けられた。』弔辞の言葉が耳に残った。 雪子さんは、外来の点滴中傍に居た私に2時間語られた。「(亡くなった)夫は、キリスト教の修道院で育てられた。私には、『もう、あの鐘の音は聞くのも嫌だ。』と言った。開業医の夫は…

はかなさ

いい人は、神様に好かれるから早く亡くなってしまう。葬儀の度にそんな言葉を聞いた。私の父は63歳で亡くなった。それから、目の前に居るだけで安心できる上司は、64歳で亡くなった。 大切な人は、すぐに居なくなってしまう。心に大きな空洞が出来るよう…

プロジェクト

通りかかったショーウインドウで目に留まったのは、カレンダーの中に埋め込まれた一輪挿しだった。不思議な絵をしばらく見つめていると、初老の女性が近寄って来た。「面白いですね。動物が花を抱えている。」と私が話すと「この文字は、お年寄りのシスター…

いのち

昨年暮れのことだった。夜に帰宅すると、エントランス前の土のむき出しの所で、しゃがんでいる中年の女性が居た。体調が悪いのだろうか?と気になって声をかけてしまった。見ると彼女は、土の上に横たえた犬のお腹をなぜていた。「どうしましたか?」尋ねると…

マインドフルネス

今日一日、瞑想に行って来ました。 息が気管を通り肺の中に出入りするのを感じ取る。 食べ物が口の中でかみ砕かれるのを感覚を研ぎ澄ます。 歩きながら、足の裏が少しづつ床に当たるのを感じる。 感覚を研ぎ澄ませれば、ただあるがままに生きていることを実…

レナードの朝

医師のレナードは、ブロンクスで精神科医をしている。彼は、脳炎の後遺症で胎児の様だったレナードと同等の立場で魂の喜びを分かち合う。 しかし、恋に落ちたレナードを病院が隔離しようとした所から病状が悪化し、他の患者にも波及していく。 回復は一時的…

♬水を飲ませてください

クリスは、日本の大学で言語学修士課程を終え、希望に燃えていた。音を聴き分ける能力に優れ、一度聴いた音はすぐに覚えた。私の歌う音程が外れているとすぐに指摘した。楽譜が読めるわけでは無く、本物の天才だった。 彼は、「日本のことばが美しい。」とい…