病院に勤めていた時、もう話す事も出来ない人が沢山いた。
その方は、私の話している事は、良く理解されている様だった。
その名前を図書館で調べて見ると、50年以上前の文章が見つかった。
そこに『声』という表題が付いていた。
それは当時、ラジオ放送で流された文章のようだった。
いくつか見つかった文章の中から分かったことは、彼は仏教の家に生まれたようだが、高校生の時にクリスチャンとなった。そして教師となり、校長となったことだった。
書籍からは、人を育てる事を生きがいにしておられたことが伝わって来た。
それで、
時間を見つけては、日々思うこと、嘆き、悲しみを聴いてもらっていた。
彼は、表情豊かに聴き入ってくださっていた。
どんな声で話されていたのだろうか?
身の回りの整理をしている。
5年前の専門書の録音を聞き直してから、廃棄したりしている。
大量にある。
CDから流れた音楽から、
「私は、死んでなんかいません‥♪」と流れてきた。
歌を聞きながら、銃弾に倒れた市長の為にこの歌が流されていたと思い出した。
うらみや嫉妬で、人生を台無しにしてはいけない。
そんな思いが湧き起こった。
そんな声がどこからか聞こえて来た。