天気のことなど気にしない私は、傘も持たずに出かけた。
迎賓館の近くでカミナリがゴロゴロと鳴り、土砂降りの雨が降り出した。
警備の警官は、雨合羽を取り出している。ちゃんとしてるなと思う。
すれ違いざまの初老の女性が「降って来ちゃったわね。」と言う。
私も「ええほんとうに。」と同じ者同士の笑いがこぼれ、いっとき木の下で雨を凌いだ。でもなかなか降り止まない。
しばらくは、大きな木の下を歩けば、そんなに濡れはしない。
しかしどこまでも木が続いているわけではなかった。
しょうがない。と、迎賓館前の休憩所で、雨が降りやむのをゆっくりと待つことにした。