潜水艦

 お天気が良いから、ゆっくりお濠の周りを散歩していた。すると黒くて小さいボーリング玉のような鳥の数羽が、土手の上を歩いていた。初めて見る不思議な鳥だった。

 お濠の水面は、波が少なく鏡の様に穏やかに揺れていた。よく見ると、鳥が何羽も水面に浮いているのが見えた。その内の一羽が、水中へともぐった。どのくらいで上がって来るのだろう? 私は、小さい波紋の広がった水面をしばらく凝視した。

 鳥はしばらくすると、水上へ戻って来た。獲物は得られたのだろうか? 少しして、もう一羽が水中へ潜った。今度は、どのくらいで浮上して来るだろうか?しばらく凝視していたが、どれだけ待っても上がって来る様子はなかった。

  あの鳥はどこに行ったのだろう。魚を追い続けてどこまでも潜水したまま泳いだのだろうか? なぜかいつまでも気になっている。

 ふと、小さな黒い潜水艦のイメージが浮かんだ。そして、その鳥が浮上して元気でいる事を願った。