ねこの気持ち

 ネコのこまちは、専用のベッドでくーくーと寝息を立てていた。

 夜、明かりが消えて静かになると、急に起き出した。ガリガリとキャットフードを食べている音が聞こえる。そうかと思うと、急に部屋中を駆け回って一匹運動会を始めた。

 「夜行性だからね。」と娘。「ねずみの運動会みたいね。」と私。実際こまちのシッポは非常に長くて大きなねずみみたいだ。気をつけないと、時々踏みつけては、激しい噛みつき攻撃を受ける。

 こまちは、空気清浄機のランプが気になるらしい。1メートルの高さにあるランプまで飛び乗ってスイッチを踏みつけている。その度にピッピッと設定音が変わる音がする。ああしまったチャイルドロックにして置けば良かった。

 ねこの動きをじっと二人で見つめて笑いがこぼれた。設定をし直して再び就寝体制に戻る。

 こまちは、今度は娘の頭にピッタリの所に座り込んでジッと娘の顔を見つめている。ねこ手でポンポンと娘の顔を叩いている。ねこと娘を見ていて私もおかしくなる。ジッと見ているとねこはゴロンと横になった。

 「こまちがゴロゴロ言ってる。ねこが近くにいるって不思議だな、仕事を忘れる。これでアレルギーが無かったらいいのになぁ。」と娘。

 心配していたが、咳が出だしたようなので私と入れ替わる。

 朝、気がつくとこまちは、私と娘の間に入って寝ていた。あらぁーこんな所に居たんだ。やっぱり娘の顔を見ながらゴロゴロとのどを鳴らして居る。長いしっぽをポンポン動かしている。

 心配していたが、就寝中に娘の咳は出なかったようだ。

 「こまちもママもイビキをかいていたよ。」と娘。

 今朝のこまちは、専用のベッドには入らず人間のベッドで丸くなっている。

 「あれ!今日は、専用ベッドに入らないんだ。」と娘。

 「きれいなところが好きみたいだからね。場所を選んでるんでしょ。自分で掃除もしてくれたらいいのにね。」と私。

「猫が自分で(粘着テープで)ごろごろやってたら怖いよね。」と娘。

「そりゃそうだね。」と、想像して笑ってしまった。