♬水を飲ませてください

 クリスは、日本の大学で言語学修士課程を終え、希望に燃えていた。音を聴き分ける能力に優れ、一度聴いた音はすぐに覚えた。私の歌う音程が外れているとすぐに指摘した。楽譜が読めるわけでは無く、本物の天才だった。

 彼は、「日本のことばが美しい。」といつも感動していた。好きな曲も私と同じだった。歌の練習に誘われ、聖堂で大声で歌った。

私が転居して一緒に歌う事はなくなったが、ある日、帰国すると電話で教えてくれた。電話越しに一緒に歌ったのがこの歌だった。