押し風

 聖堂を出て、歩き始めると風が吹いて来た。

 土手に上がり声のする方向を眺めると、凹地に広がるグラウンドで、若者たちが全力で球技に没頭している。

 私は観ているだけで、息が切れそうだ。

 歩き続けて右に曲がると、全景が広がって見えた。

 藻が生い繁る壕には、ボートに立ち上がって釣り糸を垂れている人が居る。

 私は、また観ているだけで、バランスを崩しそうだ。

 坂道を降ると、強い風が吹いて来た。

 いいから前へ、進め。と背中を押された。