プロジェクトチーム

 娘の所へ遊びに行き、ミシンで好きな洋裁をする予定でした。

 しかし私は、『まず、お母さんをする』といういつもの癖が出てしまいます。

 お昼ご飯を作りながら、冷蔵庫の中で枯れてしまいそうな野菜類が気になって仕方ありません。それで、仕事で多忙な娘夫婦のために、夕食の分も同時に作る事というお節介に手を付けてしまいました。

 

 一緒に料理をしながら、娘は、2カ月程前に亡くなった義理のお父さんの話をしてくれました。

 地域の人々との長年の交流、畑、車や農機具、船、民宿。残されたものを義理のお母さんが一人で管理するのはとても無理な事です。

 四十九日で帰省した娘夫婦は、お義母さんのために、3日間かけて財務状況をエクセルに落とし、収益のの少ない低料金での運営をしながら生活をしていた事を把握しました。そして、3台あった車も整理しました。お母さんは、さみしくない様に20年来の付き合いのある電気屋さんの寮で、ペットの犬と共に暮らす事になったそうです。お客さんの予約が入った時だけ、民宿へ行くという計画だそうです。

 先日の電話では、「昨日は、20人のお客さんが入ったんよ。忙しくしていれば気が紛れるわ。どうしても思い出すと辛いから。」と元気そうに話していましたが、私も気になっていた所でした。

 娘は、「在宅ワークの仕事が終わってから、夜の1時までかかって入力作業をしたの。まるで仕事のプロジェクトをやっているみたいだった。」と教えてくれました。

「それをやって、誰が幸せになるだろうか?」問題にぶつかるたびに、問いの答えを考える力強い娘夫婦です。その二人の思いに、思わず涙がこみげました。そして誇りに思う出来事でした。

 私は、料理で力を使い果たしたかな。と思いましたが、夜には何とかブラウスが一枚出来上がりました。